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執筆者の写真つえ屋のえまのん

JAPAN という名前の伝統技術

更新日:2022年1月26日

「MAID IN JAPAN」ではなく「JAPAN」と表記する「漆器」があります。


「漆器(しっき)は、木や紙などに漆(うるし)を塗り重ねて作る工芸品である。狭義には「漆を塗った食器」の意味であるが、広義では漆が塗られた漆工品全般が含まれる。(wikipedia抜粋)」


では、この漆を使った「塗り」の工芸は日本独自の文化なのでしょうか? 答えは「NO」です。 漆を使用した工芸品は東アジア~南アジアで広く行われており、有名な物ではベトナムの「ソンマイ」という漆絵画や、中国では紀元前から漆を使った調度品や鞍などが存在します。これは、ウルシ科植物の原生域が東アジアから南アジアに限られており、漆器は該当地域の特産品ということなのです。


余談ですが、マンゴーはウルシ科なので漆アレルギーの方はご注意ください!


現在は「カシュー」という漆系塗料が存在しているそうですがあまり普及していないようです。カシュー塗料は、その名の通りカシューナッツからとれるカシュー油が原料で、希少で高価な漆に代わる素材として注目されましたが……漆と同じような手間がかかるのにお金にはなりにくい(希少価値がない)のでは敬遠されるのもうなづけますね(苦笑)


話を戻します、ではなぜ「漆器」全般を指して「JAPAN」と呼称するのか?陶磁器はなぜ「CHINA」なのか? 14~15世紀にポルトガルやオランダなどの交易国家に対し中国は大量の陶磁器を、日本は美術品としての「漆器」を多く輸出していました。当時は今ほど言語解釈も優れておらず、「なんとなく」で交易がおこなわれていたため、貿易商たちはお金持ちたちに商品を説明する際「これは中国の焼き物(China porcelain)です」とか「これは日本の漆のやつ(Japanese lacquer)です」と適当に説明していたそうです(笑) どちらも当時は大変珍しかったので、イギリスやフランス、スペインの貴族や上流階級の間で大変流行しました。


ちなみに「ボーン・チャイナ」は17世紀にヨーロッパで開発された技法で、この時すでに「ポーセリン」=「チャイナ」という認識が定着していたようです。 (「池田美優」=「みちょぱ」とか「小林幸子」=「ラスボス」みたいな感じでしょうか?)


また、17世紀ごろには(パイレーツ・オブ・カリビアンでおなじみの!)東インド会社によって日本の根付けや蒔絵細工などの漆器が、フランス王家に宝物として持ち込まれ、現在もベルサイユ宮殿に収蔵されているようです。


しかしながら、これらはあくまで上流階級の間の話であり現在のように多くの人が「CHINA」や「JAPAN」について知るのはもう少し後になります。1867年に開催されたパリ万博の際に出展された中国の陶磁器と日本の漆器・浮世絵などが人気であり、「中国のアレすごくよかったよね?」「日本のアレもすごくよかったよ?」などという流れから省略されて「JAPAN」と「CHINA」が定着したという説がありますが……詳細は不明です。


ちなみに、1867年のパリ万博から建設が予定されたエッフェル塔は当初赤色でとても不人気した(笑) パリ万博は産業発展を目的とした博覧会であったため、「1889年の万国博覧会用に建てられる塔は決定的な特徴をもち、金属産業の独創的傑作として出現しなければならない!」と審査員満場一致で決定されましたが、その武骨なデザインに加え真っ赤な見た目はパリ市民たちに大いに嫌われます。


特に嫌っていたのはパリを拠点とする芸術家たちで、多くの反対派の芸術家はエッフェル塔1階のレストランによく通っており、文学者ギ・ド・モーパッサンは「ここがパリの中で、いまいましいエッフェル塔を見なくてすむ唯一の場所だから」と言ったそうです(辛辣) 他にも当時パリを拠点とした、建築家のシャルル・ガルニエ、詩人のポール・ヴェルレーヌ、劇作家のアレクサンドル・デュマ・フィス、作曲家のシャルル・フランソワ・グノー、画家のエドガー・ドガなど多くの芸術家が集まり、図らずしも当時のフランス芸術を躍進させる「サロン」としての機能を果たしたようです。


閑話休題。話がそれましたが、「赤かった」話に戻ります(笑) 実は答えは簡単で、当時のさび止め剤は色が赤しかなく鉄骨をさびないようにするため赤く塗られていた。と言うのが真相のようです。ちなみに、設計者は「エッフェル」「ソーヴェストル」「ケクラン」の3名です。残りの2人ドンマイ(泣)

パリ万博での成功もあり、19世紀以降は日本の漆器に影響を受けたヨーロッパの職人たちが「ジャパニング」や「デコパージュ」という新たな工芸品を生み出していきます。


現代でも日本人には近くて遠い存在であり、欧米の方には憧れの「JAPAN」なのかもしれません。


そんな「漆塗り」「蒔絵」や「デコパージュ」の杖をつえ屋はたくさん取り扱っております!(笑)

漆がお好きな方や漆に興味を持たれた方は是非お店にも遊びに来てくださいね♪



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