杖を長く使っているとグリップ(持ち手)がベタベタになったりすることありませんか? これは「加水分解」という化学反応が原因なのだそうです。
「加水分解(かすいぶんかい、英: Hydrolysis)とは、反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応のことである。水解とも呼ばれる。このとき水分子 (H2O) は、生成物の上で H(プロトン成分)と OH(水酸化物成分)とに分割して取り込まれる。反応形式に従った分類により、加水分解にはいろいろな種類の反応が含まれる。
化合物ABが極性を持ち、Aが陽性、Bが陰性であるとき、ABが水と反応するとAはOHと結合し、BはHと結合する形式の反応が一般的である(wikipedia抜粋)」
なんのこっちゃ…
簡単に言うと、「素材A」と「素材B」の電荷極性(電気的なプラスやマイナスの性質)が正負(プラスとマイナス)でそこに水(手の汗や雨、湿気、除菌スプレーなど)が加わることによって電気的な流れが起こり電解反応で素材が分解される反応です。(まだちょっとややこしい…)とりあえず、汗や水で濡れたまま放置してはいけないってことですね(笑)
では、どうやれば「ベタベタ」になるのを防げるの?
直前にも書いていますが「 汗や水で濡れたまま放置しない」ということなのですが、これって意外と難しいです。 どういうことかというと、ほんの少しの水分があるだけで加水分解は進行してしまうので、杖を使わない時は乾燥剤入りの袋に入れて保管する以外防止する方法はありません…。
(それでも完全には防げないです)
もちろん、使用環境や保管環境、使用者によって加水分解の状況は変わるので、同じ杖でも「ベトベト」にならない物もあるわけです。さらに、使用後には硬く絞ったタオルなどで拭いて汚れを落とし、さらに乾拭きすると加水分解の発生を大幅に抑えることができますので、杖を大切にしていただけると長持ちします!
もし、「ベタベタ」になってしまったら …
加水分解が発生しやすいのがグリップ部分なのですが、「樹脂製のグリップ」に「ゴムの塗工処理」されたものが圧倒的に加水分解を起こしやすいです。
これは「樹脂」と「ゴム」の極性(電荷)が異なることが多く、電解反応が起こりやすいのに加え、ゴムの構造上分子間には目に見えない隙間が多く内部に水分子を保水しやすいことや、ゴムそのものに使用される「充填剤」と呼ばれる薬剤がそもそも加水分解の原因である場合があるようです。(つまり、ほとんどのゴム製品はゴム単体でも一定の期間で加水分解を起こすということのようです)
『え?良いとこないじゃん?』って思いましたか? 「樹脂製でゴム塗工」のグリップには「滑落予防」という加水分解発生のリスクよりも優位なメリットが存在します。グリップから手がすっぽ抜けて転んでしまっては元も子もありません。
最近では加水分解が起こりにくいシリコン製のグリップカバーなども販売されていますがカバーとグリップの間に水が入るなどしてカバーが滑ってしまって手が滑落する事故も発生しているようです。一長一短ということですね。
ともかく、「ベタベタ」になってしまった場合は以下の方法をお試しください!
軽症(すこしベトベトする) ↓ 固く絞った雑巾でベトベトがなくなるまで丁寧に拭く。 注意:一度加水分解が進行するとその後もベトベトが出続けます。毎日のお手入れをこまめに行ってください。
重症(かなりベトベトする) ↓ 「除光液(アセトン系)」を「使い捨て可能な天然素材の布(コットンウエスや雑巾)」で丁寧に拭きとってください。 注意:除光液で拭き取ると表面のゴムが除去されて持ち手が滑りやすくなります。握る力に不安がある場合は市販の滑り止めテープなどをご使用いただくか杖の買い替えをご検討ください。また、除光液を使用する場合には十分換気を行ってください。アセトンによる手荒れなどが気になる方は耐アセトン(天然ゴム)の手袋を使用してください。除光液を使用したことにより持ち手やその周辺が変色する場合があります、除光液のご使用前に目立たない場所で必ずテストを行ってください。
まとめ
いろいろと書きましたが、大事なのは日々のお手入れです! 大切なパートナーですから毎日きれいにしてあげてくださいね! また、その他にもお困りごとがあればお気軽につえ屋にお問い合わせください♪
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